秩父のリハビリテーションを支える病院

院長挨拶

〜困難なときこそ、連帯の輪を〜

秩父生協病院の前身は、1955年に熊木町に秩父中央診療所として開設しました。開設当初から「患家は病室、そこまでの道は廊下」との信念のもとに地域医療を行い、1970年に有床診療所となりました。1984年に40床の秩父生協病院となり、2000年4月に阿保町に移転新築し、一般病棟35床、療養病棟40床、計75床の病院となりました。関連施設として、通所リハビリ施設「CoCoLo」、生協ちちぶケアステーション・在宅介護支援センター、小規模多機能介護施設「生協花の木ホーム」があります。

「地域の人々とともに、利用者中心の安心・安全の保健・医療・介護サービスを提供する」を目標に、ISO9001等の外部評価取得も行いながら、医療・介護の質の向上にも努めてきました。

秩父地域は年齢補整後も脳卒中死亡が多く、回復期リハビリへの期待に応えようと準備を進め、2009年2月、一般病棟35床を回復期リハビリ病棟へ変更しました。

その後病棟再編を行い、回復期病棟40床、療養病棟35床で運用しています。

秩父市内で回復期リハビリテーション病床を持つ病院としての役割が果たせるよう、地域の医療機関との連携を拡げています。

秩父市と周囲の4町は、総務省が提唱する「定住自立圏構想」の認可を受け、その重点項目の一つとして回復期リハビリテーションが位置づけられています。

地域リハビリテーションは「障害のある方や高齢者およびその家族が住みなれた町で、その人らしく生き生きと生活が送れるように、医療・保健・福祉および生活に関わる人々や機関・組織がリハの立場から協力し合って行う活動のすべて」とされています。住民の方が、自分自身の問題ととらえ、日ごろから心構えをし、日常的な改善のための活動にとりくむことが大切です。

秩父生協病院では、外来、在宅、回復期リハビリ病棟、療養病棟及び関連施設の充実をはかるだけではなく、ちちぶ医療協議会が監修した『ちちぶお茶飲み体操(通称:茶トレ)』などによる筋トレ運動、認知症予防のための多彩な活動、歯科医師会と連携した「口腔ケアの取り組み」など、積極的な健康づくりのための取り組みも発信し、住民の方と協力した活動を行っています。

2014年日本老年医学会が提唱した「フレイル」(「要介護状態」一歩手前の状態)予防が求められています。「身体的」「精神的」「社会的」の3つの要素があり、予防するには①食事(タンパク質とバランス)・口腔ケア②身体活動(筋トレと有酸素運動)③社会参加が大切。社会とのつながりを失うことがフレイルのきっかけになるとのこと。地域ごとに課題を整理して、元気の出る地域づくりに向け、住民・医科・歯科・様々な専門職(プロボノ)・行政が知恵と力を結集していきましょう。

厚労省健康日本21で「健康寿命の延伸・健康格差の縮小」を提起。所得が低い人ほど要介護になりやすいなどの研究もあり、健康は自己努力だけでは解決困難です。多くの社会的要因が関与しており、上流の社会環境を変えるヘルスプロモーションが必要です。当院は2013年WHOが1988年に提唱したHPH(Health Promoting Hospitals and services)に加盟し、安心のまちづくりを多くの方と連携して実践中です。医療生活協同組合は世界の「協同組合」の仲間とともに、2016年12月ユネスコの無形文化遺産に登録されました。

 2019年末、中国・武漢で感染が報告された「新型コロナ」は、2020年、日本初め世界各地で猛威をふるい始めました。「新型コロナ」は人々に分断と差別をもたらします。困難なときほど知恵と力を寄せ合い、連帯と共生の社会を作っていくことが求められています。だれ一人とりのこさない、SDGs(持続可能な世界)をみんなでつくっていきましょう。

秩父生協病院院長  山田昌樹

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